【助産師執筆】 妊娠中に運動が必要なのはなぜ?理由や運動の効果を助産師が解説

妊娠中の生活

妊娠して安定期に入ると医師や助産師から運動することを勧められませんか?

妊娠中のママの健康を守るために必要なのが適度な運動です。

運動することで、お産に向けて体力を保ち、体重管理を行ったりマイナートラブルを予防できます。

今回は妊娠中の運動が必要な理由や運動する時の注意点、ウォーキングなど具体的な運動の効果について助産師が解説していきますね。

妊娠中に運動が必要なのはなぜ?ママの健康を守る3つの理由

妊娠中に運動することは、体力の維持、合併症やマイナートラブルの予防に効果があり、健康維持につながります。

陣痛が始まってお産の進みがスムーズなママに話を聞くと、妊娠中にウォーキングをしていたと教えてくれました。

初めて出産する方でしたし、妊娠中に運動したことが安産になるひとつの要因になっていることを助産師として実感した経験があります。

妊娠中の生活を健康に過ごすことで、お産を安産にし、産後の育児にスムーズに入れるようになりますよ。

理由1:体力を維持する

妊娠中は体力を維持することが大切です。

初めての出産は陣痛が始まってから赤ちゃんが生まれるまで、15〜16時間かかります。

出産の経験がある方でも、6〜8時間かかるのでママには体力が必要なのです。
産後の育児では3時間ごとの授乳を昼夜問わず行うため、体力を確保しておかなければなりません。

妊娠中期以降、だんだんとママのお腹は大きくなるため動くことが面倒になって運動不足になる場合もあります。

妊娠中に運動をして体力を維持しておくことで、体力を使うお産や育児に備えられますね。

理由2:適切な体重管理につながる

妊娠中は赤ちゃんの発育やママの身体の変化により体重が増加します。

妊娠中の体重増加量はママの体型によって異なり、BMIが18.5〜25未満の標準的な体型の方は妊娠中に7〜12kg増加することが望ましいです。

ところが妊娠中の体重管理がうまくできず、過度な体重増加になってしまうと妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群といった合併症が発症する可能性が高くなってしまうのです。

妊娠糖尿病は妊娠中の身体で血糖値を下げるインスリンというホルモンの働きが追いつかなくなり、血糖値が高い状態になる病気です。

家族に糖尿病の人がいる、もともと肥満である、妊娠中に体重が増え過ぎることが妊娠糖尿病になりやすくなる要因です。

妊娠高血圧症候群は妊娠中に高血圧になったり、高血圧と蛋白尿が出る病気です。もともと糖尿病や高血圧である、妊娠中に体重が増えすぎる、双子を妊娠していることなどが、なりやすくなる要因です。

どちらの病気も体重のコントロールができれば発症のリスクを下げることができます。妊娠中に運動を取り入れて上手に体重のコントロールをすることが大切ですね。

理由3:マイナートラブルを予防する

便秘や腰痛、むくみなどのマイナートラブルは多くのママが経験します。

妊娠中の身体はホルモンの分泌量が変化したり、子宮が大きくなったり、身体の水分量が増えるためマイナートラブルが起こりやすいのです。

運動をして身体の血流を良くすることで、マイナートラブルの予防につながります。

妊娠中の運動の注意点【運動を始める前に確認しよう】

妊娠中の運動は基本的に妊娠12週を過ぎたら始めて大丈夫です。妊娠12週以前の時期は安定期ではないので無理はできません。そのため妊娠中の運動は妊娠12週以降がすすめられています。

妊娠前からジョギングや水泳、サイクリングなどの運動 をされていた方は、妊娠経過が順調であれば継続して構いません。

しかしテニスやバレーボール、バスケットボールといった球技は避けた方が良いですね。

お腹にボールが当たる可能性がありますし、バレーボールやバスケットボールは接触する可能性があるからです。

スキーやスノーボードは転倒する可能性が高いので、避けましょう。

長時間の運動はママと赤ちゃんに負荷をかけてしまうため、1回の運動時間は30分〜60分とし、1週間に2〜3回のペースから始めると良いです。

運動を行う時間帯は、ご自身の生活スタイルと体調に合わせて可能な時間で行って頂ければ良いです。可能であれば、体調が変化した場合に受診しやすい早い時間をおすすめします。

運動することで汗をかくので、脱水にならないように水分補給をしながら運動してくださいね。

また、早産の経験がある、切迫流早産や前置胎盤と言われている、双子の妊娠の場合など妊娠中の運動ができない場合もあるので、運動が可能なのか医師に確認しておきましょう。

妊娠中はどんな運動ができる?妊娠中に適した4つの運動を紹介します

ここでは妊娠中のママに適した4つの運動方法を解説していきます。特に、ウォーキングや妊婦体操は取り掛かりやすいのでおすすめです。

ウォーキング

ウォーキングは妊娠中のに取り入れやすい運動です。

有酸素運動かつ全身運動なので、エネルギーの消費、血糖値や血圧を下げたりすることに効果があります。

さらに全身運動は血流を促進する働きもあり、マイナートラブルの腰痛を軽減する効果もありますね。

背筋を伸ばして肩の力を抜き、腕を活発に振るにしてウォーキングをしましょう。

誰でもできる簡単な運動ですが、慣れないうちは1回の時間を10分や20分から初めてください。

妊婦体操

妊婦体操は肩や腰、足を動かす運動で、むくみや腰痛などのマイナートラブルを予防ができます。

家や職場などどこでも気軽にできる運動が多いのが特徴ですね。

指先を肩につけて肩を大きく回す運動、踵を床につけたまま足首を上げる運動など、身体への負担が少ない運動ができます。

以下のサイトではイラスト付きで妊婦体操をわかりやすく解説しているので参考にすると良いですよ。

松戸市子育て情報サイト ママパパ学級テキスト 妊婦体操
https://www.city.matsudo.chiba.jp/kosodate/matsudodekosodate/kosodatenavi/ninshinshitara/mamapapa/text.files/ninshintaisou29.pdf

マタニティビクス

マタニティビクスはリズムに合わせて全身を動かす運動です。

一般的なエアロビクスとは異なり、妊娠中の身体に合わせた運動プログラムなので、お腹が大きくなったママでも運動できます。

ウォーキングと同じ有酸素運動なので、エネルギーの消費、血糖値や血圧を下げる効果があります。

体力を維持して、体重コントロールをしながら産後の母乳分泌の促進も目指せるのがマタニティビクス。

インストラクターに指導してもらいながら安全に行いましょう。

マタニティヨガ

マタニティヨガは身体を動かすだけではなく、呼吸も大切にする運動です。

瞑想も取り入れていることから、ママの身体と心を安定させてリラックスさせる効果があります。

ヨガのポーズをとりながら呼吸法も取り入れることで、骨盤の周りの筋肉や股関節を柔らかくし、お産の時に必要な呼吸法も自然とできるようになるのです。

マタニティビクスと同様にインストラクターに指導してもらい安全に行ってくださいね。

無理の無い範囲で運動して健康管理を

妊娠中の運動は体力を保ち、体重管理を行ったりマイナートラブルを予防できます。

しかしママの身体は妊娠中に様々な変化があるので、ストレスなく無理のない範囲で運動することが大切です。

ウォーキングや妊婦体操といった簡単にできる運動から始めていきましょう。

妊娠中の生活の中に上手に運動を取り入れることで、健康管理をしてくださいね。

参照元
産婦人科診療ガイドライン−産科編2017 日本産科婦人科学会
http://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_sanka_2017.pdf
日本生活習慣病予防協会 妊娠中の運動は効果的 肥満と妊娠糖尿病のリスクが低下
http://www.seikatsusyukanbyo.com/calendar/2015/002988.php
日本マタニティフィットネス協会

【執筆者紹介】

助産師、保健師、看護師
菊地 綾香

総合病院、産科クリニックに勤務。看護大学教員として看護学生や助産師学生の教育にも携わる。約8年の助産師経験から得た妊娠、出産、育児に関する確かな知識と情報を届けるための活動も行なっている。

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