【歯科衛生士執筆】むし歯はどうしてなるの?子どもをむし歯から守るために

歯のお手入れ

むし歯になりやすい人がいる?

私が日々臨床の現場で、よく患者さんに

「私、昔からむし歯になりやすいんです」

「主人の歯みがきは30秒くらいで終わっていて、私は5分くらいかけて丁寧に磨いているのに、なぜか私ばかりむし歯になります…」

などのご相談を受けることがあります。このように「むし歯になりやすい人」「むし歯になりにくい人」の差は何でしょうか。

むし歯はなぜなるの?

そもそもどうしてむし歯になるのでしょうか。

それは「むし歯菌」という細菌が原因となります。しかし、「むし歯菌」は自然に発生するものではありません。

ですので、生まれたての赤ちゃんのお口の中を調べても、むし歯菌は存在しません。

では、むし歯菌は一体どうやってお口の中に入ってくるのでしょうか。

それは、むし歯菌を保有した大人が使用したコップやスプーンを、お子さんがお口の中に入れたりすることで、むし歯菌に感染します。

むし歯菌は人から人に感染していくことによって、存在してきた細菌です。しかし、お口の中にむし歯菌がやって来たからといって、すぐむし歯になるわけではありません。

むし歯菌も生き物なので、ご飯を食べます。そのご飯となるものが、食べ物に含まれたお砂糖です。

そしてむし歯菌も生き物なので、ご飯を食べると「おしっこ」や「うんち」をします。「おしっこ」が酸と言われるもの、「うんち」がプラーク=歯垢と言われるものです。

小学生のころに、歯みがき指導で歯垢を赤く染め出して歯みがき練習された経験がある方も多いかもしれませんね。あの真っ赤に染め出された汚れが歯垢です。歯垢は染め出すと分かりやすいのですが、染色前は白くモヤモヤした状態です。

<歯垢>

<プラーク>

むし歯が排出した「おしっこ=酸」や「うんち=歯垢」が歯にべったりくっついて、だんだん歯の表面が溶けだし、穴の開いた状態を「むし歯」と呼んでいるのです。

つまり、お口の中にむし歯菌の数が多い人ほど「おしっこ」や「うんち」をする数が増えるため、むし歯になるリスクが高まります。

むし歯になりにくい子にするためのヒケツ

むし歯の仕組みが分かったところで、一体どのようにすればむし歯になりにくいお口にしていけるのでしょうか。

大切なことは「むし歯菌」への感染を防ぐこと。

そのためには、感染源である周囲の人間が気を付けなければなりません。特にお子さんと接触している時間が長くなる大人は、感染源としては一番の原因になりやすいのです。

まずは、感染源となる自分が使用したお箸やスプーンの使いまわしを控えること。

使いまわしに関しては、おじいちゃん、おばあちゃん、兄弟など、周囲の協力も必要です。家族みんなでの取り組みですね。

特に1歳7か月から2歳7か月ごろまでは、むし歯菌に感染しやすい時期だと言われています。育児でも手を焼きやすい頃と言えます。目を離した隙に、家族が使ったあとのスプーンを口にしていたり、コップを手にしていたり、なかなか目が行き届くのが難しく、管理するのが難しい時期です。

「使ったあとの食器はすぐに洗い場に持って行ってね」

など、家族で知識を共有して、対策を考えておくのも良いかもしれません。

加えて、家族みんなのお口の中を清潔にしておくこと。

ママのお口にむし歯があると、お子さんもむし歯になりやすいと言われています。 まずはご自身、家族みんながむし歯治療をしっかりしておくこと。

そして定期的な歯のクリーニングを受けることによって、細菌そのものの数を減らし、感染するリスクを減らしておくことも大切です。

2歳以前にむし歯菌に感染すると、「むし歯になりやすい子」になるというデータがあります。例え永久歯に生え変わったとしても、ずっと「むし歯になりやすい」状態が続いてしまうのです。

日々の歯みがきや食生活を整えることは、もちろんむし歯予防にとって重要です。特に飲み物は重要で、2歳以前にむし歯になってしまった子の原因を探ると、お砂糖が含まれた飲み物をダラダラ飲んでしまっているケースが多々あります。

体にとってよい飲み物だと思っていたものが、実はむし歯の原因になっていた!ということも…。

下記に図示しているエナメル質を溶かす飲み物を参考に、摂取する量・時間を考えて飲ませてあげるようにしてください。甘い飲み物をダラダラ飲みしないよう、コップに決まった量を入れてあげるなどの工夫が必要です。

ぜひこういった「むし歯菌」への感染を防ぐという点にも着目して予防に取り組んでみてください。

大切なことは、100%むし歯菌への感染を防ぐというのは困難であるという意識を持つこと。「出来る限り感染のリスクを減らす」と考えておいてもらうとよいかと思います。

あまり神経質になりすぎても長続きはしないものですので、家族みんなで取り組めるむし歯予防対策を話し合ってみてください。

【執筆者紹介】

歯科衛生士
神田恵実

医療法人社団健生会平井歯科クリニックの主任歯科衛生士として勤務の傍ら、産婦人科の準備教室や、地域の市民講座にて講演活動も行う

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