【助産師執筆】母乳の仕組みが分かれば、母乳育児がわかる!母乳の仕組み解説します

授乳

母乳が赤ちゃんに良いということは、 医療機関やお母さん方の会話の中で聞くことが多いでしょう。

しかし、実際になぜ母乳が良いとされているのか、母乳がどのようにできているのか気になる方がいらっしゃると思います。

そこで今回は母乳の仕組みから、母乳が良いとされる理由を解説していきます。

そもそも母乳とは?

母乳は血液からできています。血液が乳房の毛細血管に取り込まれ、血液を赤くしている赤血球が取り除かれたものが母乳です。

できた母乳は乳腺という母乳のダムに蓄えられ、乳管という母乳の通り道を通り赤ちゃんのもとへ届けられます。

赤ちゃんは母乳にあきないの?母乳の種類、初乳、移行乳、成乳について

初乳

初乳とは産後1~5日目の黄色くとろっとした母乳のことをいいます。初乳と成乳の大きな違いは免疫物質を多く含んでいるからです。成乳よりもタンパク質が多く赤ちゃんのお腹に優しくなっています。

移行乳

移行乳とは産後6~13日の初乳~成乳に変化する変わり目の時期をいいます。

成乳

成乳とは産後14日以降の白い母乳です。みなさんが母乳と聞いて思い浮かべるのは成乳だと思います。成乳は初乳と比べて脂質が多くカロリーが高いのが特徴です。

母乳はこのように赤ちゃんの成長に合わせて3段階にできています。個人差はありますが、母乳の量は最初は頑張って絞って1滴出るか出ないかくらいの量からスタートする人が多いので、少なくても不安に思うことはありません。

また、移行乳、成乳では母乳はフルコースになるようになっています。最初は薄い色の水分やビタミン、乳糖、たんぱく質がメインの、食事で例えると前菜やサラダにあたるようなものから始まり、最後は脂肪分やカロリーが多いデザートにあたるような母乳で終わるようになっています。

母乳はオーダーメイド?

母乳は 血液からできていると説明しましたが、授乳中にカフェインやアルコールの取りすぎに注意と言われるのはそのためです。

カフェインには興奮作用があり、赤ちゃんが落ち着かなくなったり、眠らなくなることがあります。

また、アルコールは多量に摂取すると赤ちゃんの発育、発達が遅れるとの報告があります。

授乳中のカフェイン、アルコール、タバコは本当にダメなの?

カフェイン

カフェインはコーヒーなら1日3杯以内なら問題ないとされています。しかしカフェイン摂取後の約1-2時間後に母乳中にカフェインが出るため、カフェインの摂取は授乳直後をおすすめしています。

アルコール

基本的に授乳中は禁酒を推奨しています。1日ビール2缶、グラスワイン2杯程度なら影響は大きくない、また、アルコール摂取後1-2時間後に母乳に出るため、飲酒は授乳後がよいとの報告もありますが、授乳中は禁酒した方が安全です。 どうしてもやめられない場合は、医療機関に相談してください。

タバコ

タバコは直接的には母乳を介して、間接的には受動喫煙として赤ちゃんに影響を与えます。特にタバコに含まれるニコチンは、血液を介し母乳になるまでに濃縮され、赤ちゃんの口に入る頃には、約3倍も高いニコチン濃度になると報告されています。

ニコチンを含む母乳を飲んだ赤ちゃんは機嫌が悪くなったり、嘔吐や下痢を起こしたりすることもあります。また、赤ちゃんの突然死の可能性や呼吸器の感染症の発症率を高めることもあるため、授乳中は禁煙しましょう。どうしてもタバコをやめられないという方は、医療機関に相談してください。

母乳の量を増やすにはどうすればいいの?

母乳の分泌を良くするには、

  • 正しく赤ちゃんに吸わせること
  • バランスの良い食事をすること

この2つが大切です。1つ1つ詳しく見ていきます。

正しく赤ちゃんに吸わせること

母乳は、母乳を作るホルモンであるプロラクチンと母乳を出すホルモンであるオキシトシンの2つのホルモンに支配されています。

赤ちゃんがおっぱいを吸うことで、この2つのホルモンの分泌がよくなり、母乳分泌が促されます。また、徐々に母乳の分泌量が安定してくると、母乳は出した分だけ作られるようになってきます。

逆に、母乳が赤ちゃんに飲まれず残っていると、体はその分の母乳はいらないと判断して分泌量を減らします。そのため、授乳の間隔が大きく空いたりすると母乳の量が減る原因になります。

母乳はしっかり深く赤ちゃんに吸わせることで

  • ホルモンの分泌が促される
  • 赤ちゃんが母乳を飲み取れる
  • 乳頭が傷つきにくい

というメリットがあり、正しい授乳が重要です。正しい授乳に関しては下記のコラムも参照してください。

【助産師執筆】 授乳の抱き方は3種類!正しい授乳方法を解説します

https://blog.ikujicare.jp/2019/05/04/breastfeeding-positions/

バランスの良い食事をすること

前述したように母乳は血液からできており、お母さんの 食べたものは母乳を介して赤ちゃんの栄養となります。

そのためお母さんがきちんとした 栄養バランスで栄養を取ることが大切になってきます。

赤ちゃんの体重はどのように変化していくの?

WHOの指針では、赤ちゃんの体重は生まれた時の体重の10%までの減少が正常範囲です。つまり生まれた時の体重が3000gの赤ちゃんならば、2700gまでの減少なら正常範囲です。

この体重減少は一時的なもので、生後2~3週間までに出生時の体重に戻り、その後体重は18~30g/日程度を目安に増加して行きます。

また、私たちの食欲に波があるように、赤ちゃんにも飲みむらがあり、ある日は体重が70g増えたけれど、ある日は10gしか増えなかったなどはよくある話です。体重に一喜一憂せずに、赤ちゃんの様子を見てみましょう。

母乳が足りているサインとして下記のものがあげられます。

  • おしっこが1日に6~8回出ている
  • 授乳中にゴクゴクと飲んでいる音が聞こえる
  • 機嫌がいい
  • 皮膚に弾力があり、顔色もいい
  • 体重が発育曲線に沿って増えている

このようなサイン があれば母乳は足りていると考えられますが、はじめての育児で不安な場合は、母乳外来で相談するという方法もあります。

今回のポイント

  • 母乳は初乳、移行乳、成乳の3つの段階に分かれている
  • 母乳の量を増やすには、正しく赤ちゃんに吸わせること、バランスのいい食事をすることが大切
  • 赤ちゃんの体重増加は一喜一憂せず、しっかり様子を見てあげる

授乳の時間はお母さんと赤ちゃんの大切なコミュニケーションの時間です。授乳はお母さんも初心者、赤ちゃんも初心者。二人三脚で楽しみながら行ってみましょう。

この記事が少しでも皆さんの育児の参考になれば幸いです。

参考文献
NPO法人日本ラクテーション・コンサルタント協会(2015)『母乳育児スタンダード』医学書院
横尾京子(2015)『産褥期のケア新生児期・乳幼児期のケア』日本看護協会出版会

【執筆者紹介】

助産師、看護師
諸岡 瑞希

総合病院の産婦人科に勤務。分娩室、母体胎児集中治療室、回復治療室、助産師外来、母乳外来を経験。現在は大学にて栄養学、保健養護学を専攻している。

日々の育児をLINEで医療職に相談できます

助産師、管理栄養士、看護師・保健師が育児のご相談にのります<詳細はクリック>