【視能訓練士執筆】目の成長とデジタル機器について

視力

最近、若者を中心にスマホ(スマートフォン)の長時間使用による急性内斜視が増えている、というニュースを耳にします。

内斜視とは、左右のどちらかの視線が内側に向かっている状態です。さらに、急性内斜視は短期間の内に内斜視が起こったもので、主な症状として複視(物が二重に見えること)があげられます。

国立成育医療研究センターからもスマホなどの過剰使用により斜視の発症や悪化を招く可能性がある、という論文が発表されています。

子どもの目へのデジタル機器の影響は?

テレビ・スマホ・タブレット・ゲーム機器・パソコンなどのデジタル機器による子どもへの影響は、運動不足や生活リズムの乱れ・学力低下など、調べ始めると次から次へと出てきます。

親として、出来れば子ども達にはあまり触れさせたくないと思っていても、子ども達の生活にデジタル機器は入り込んでいます。

デジタル機器の使い過ぎによる問題は、主に小学生や中学生・高校生といった時期の事のように思われるかもしれません。

しかし、乳幼児期は目の発達にとても重要な時期であり、デジタル機器との関り方にも要注意です。

2019年4月24日に新たに発表されたWHO(世界保健機関)の小児の健康な成長に関するガイドラインではデジタル機器の使用時間に関しても基準が設けられていました。

・2歳未満 :Screen timeは推奨されない
・2歳~4歳:Screen timeは1日1時間未満

(Screen timeとは、テレビ・ビデオ・コンピューターゲームを座って見続けることと定義しています。)

参照元
WHO guidelines on physical activity, sedentary behaviour and sleep for children under 5 years of age
https://www.who.int/news-room/detail/24-04-2019-to-grow-up-healthy-children-need-to-sit-less-and-play-more

子どもの目の発達に必要なこと

子どもの目は、生後すぐから6歳くらいにかけて成長していきます。

ただ見えるようになる、すなわち、視力が発達するというだけではなく、自分の見たいものを見たり、見たいところにピントを合わせたり、見たいものを追いかけたりといった見る力(視覚機能)もこの時期に発達していきます。

目の発達については、下記の記事も参考にしてください。

【視能訓練士執筆】赤ちゃんの視力はどれくらいあるの?目の成長には何が大切なの?

https://blog.ikujicare.jp/2019/01/20/baby-eyesight/

「目に映像が入る→興味を持つ→触ってみたくなる→手を伸ばす→触る」といった具合に目と体を一緒に使うことにより視覚機能が育ち、同時に他の感覚機能や運動機能も発達していくのです。

目を開けて一か所を見ているだけ(画面を見続けるなど)では、視覚機能は正しく発達することが出来ません。

昔の子ども達の遊びの中には、目と体を同時に使う遊びがたくさんあります。昔は遊びを通して、自然と視機能のトレーニングが出来ていたのです。

しかし、現在の子ども達はそれらの遊びの時間が減ってきているとともに、座ったまま長時間同じ距離の画面を見続ける、という時間がどんどん増えてきています。

これは、視覚機能の発達を妨げるとともに、健康な活動の時間を奪ってしまうことにもなります。

視覚機能がしっかりと育っていないと、大きくなるにつれて様々な困りごとが出てきます。

視覚機能が原因だと考えられる困りごと(幼児期)

  • 動いているボールやおもちゃを目で追う、取るのが苦手
  • 指をさしたり、指示したものを素早く見つけられない
  • つまづく、物や人にぶつかる事が多い
  • 絵カードの遊びや図形の課題で見比べるのが苦手
  • 見るときに細かい部分に気づかない
  • 下り階段、平均台など段差のある場所を怖がる
  • 折り紙が苦手
  • 積み木やパズルをしたがらない、又は苦手

デジタル機器の利用は時間を決めて。お子さんの様子にも注意

最近はデジタル機器による幼児向けの楽しい教材やゲームがたくさんあり、それを使うことによる学びもたくさんあります。

ですので、デジタル機器は絶対にダメ!としてしまうのではなく、時間を決めて適切に使うようにすることをおすすめします。そして、親子みんなで楽しく体や手先を使う下記のような遊びを増やすように意識してみて下さい。

  • けん玉
  • おはじき
  • ビー玉
  • お手玉
  • あやとり
  • 竹馬
  • 折り紙  など

また、お子さんが画面を見ているときに目や視力の異常に気付くこともあります。

視力が悪い可能性のある行動

  • 目を細めて見る
  • 異常に近づいて見る
  • 横目やあごを引いて見る

斜視の可能性のある行動

  • 片目を内に寄せて近くのものを見る
  • 明るいところにいくと片目をつぶる
  • 物を見るときに首を傾ける

目の病気の可能性のある行動

  • 顔を回して横目で見ようとする
  • 明るいところでやたらとまぶしがる
  • 黒目が白く光って見える
  • まばたきが激しい

これらの症状がみられた場合は眼科を受診することをおすすめします。

子どもの視機能の健全な成長を促すためには、体を使った遊びやふれ合いがとても大切になります。

デジタル機器を生活の中から全て排除するのは難しいと思いますが、なるべくひとりで遊ばないように大人も一緒に参加しながら、時間がきたら自然と違うことに興味を移せるような工夫をしてみて下さい。

【執筆者紹介】

視能訓練士
田井中 麻美

小学生の二児の母。
パートで眼科に携わりつつ、子どもの成長を見守ることに軸を置いている。他に、子どもや育児に悩む親の居場所を作る活動も続けている。

日々の育児をLINEで医療職に相談できます

助産師、管理栄養士、看護師・保健師が育児のご相談にのります<詳細はクリック>