【助産師執筆】母乳育児のメリットが知りたい!妊娠中にできることは?

妊娠中の生活

「母乳育児で赤ちゃんを育てたいけど、メリットって何?」

赤ちゃんが生まれたら、母乳育児で育てると良いとは聞くけれど、具体的にどのようなメリットがあるのか疑問に思いますよね。

メリットだけではなく、大変なこともあるのではないかと不安に思うお母さんもいるでしょう。

母乳育児がスムーズにできるように、妊娠中からできることも知っておきたいところですね。

今回は、助産師が母乳育児のメリットとデメリットについて解説していきます。

妊娠中から実践できる乳房ケアもご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。

母乳育児で赤ちゃんを育てる5つのメリット

メリット1:赤ちゃんの免疫を補う

生まれたばかりの赤ちゃんは免疫機能が未熟ですが、母乳は赤ちゃんの免疫を補ってくれます。

母乳から得られる赤ちゃんの免疫物質は、初乳だけだとイメージしている方もいらっしゃるかもしれませんが、初乳だけではなく成乳にも免疫物質は含まれています。

生後6か月まで完全母乳で赤ちゃんを育てた場合、下痢、胃腸炎や肺炎、中耳炎、インフルエンザなどの感染症にかかるリスクを下げるとも言われているのです。

メリット2:子宮の回復が促進される

産後は子宮が収縮して妊娠前の大きさに戻っていくのですが、子宮が収縮するためにはオキシトシンという子宮収縮を促進するホルモンの分泌が重要です。

母乳を飲ませると、赤ちゃんが乳頭を吸う刺激がお母さんのオキシトシンの分泌を促してくれるのです。

母乳を飲ませる機会が多いと、オキシトシンの分泌も盛んになって子宮収縮が促され、子宮復古不全を防ぎます。

子宮復古不全は、子宮収縮が進まずに出血が増えることです。

授乳をしてオキシトシンの分泌が盛んになることで、子宮の回復が促進されます。

メリット3:赤ちゃんの腸内細菌を整える

生まれる前の赤ちゃんの腸内は無菌なのですが、生まれた後は大腸菌などの様々な菌を取り込んで腸内細菌が増えていきます。

母乳にはオリゴ糖という成分が含まれているのですが、オリゴ糖は善玉菌であるビフィズス菌のエサとなり、増殖を手助けしてくれます。

ビフィズス菌が増えることで赤ちゃんの腸内細菌が整い、悪玉菌が増えにくい腸内環境をつくってくれるのです。

メリット4:乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクが低下する

睡眠中に赤ちゃんが突然死亡するのが乳幼児突然死症候群(SIDS)で、聞いたことがあるお母さんは多いと思います。

SIDSの予防法は確立されていないのですが、できるだけ母乳で育てることで発症率が低くなることがわかっています。

メリット5:時間と場所を問わず赤ちゃんが飲める

母乳は消化する時間がミルクに比べてはやく、調乳も必要ありませんので、時間と場所を問わずにいつでも赤ちゃんに与えることができます。

赤ちゃんが欲しがる時に、その都度お母さんが飲ませることができますし、ミルクのように費用がかからないので経済的にもメリットがありますね。

母乳育児にデメリットはある?工夫次第で解決できます

デメリット1:授乳間隔が不規則になる

母乳育児の場合、赤ちゃんが一度に飲む量は授乳ごとに異なります。

そのため、授乳間隔が不規則になってしまい、昼夜問わず授乳が必要です。

30分おきや1時間おきといった授乳間隔になることもあり、お母さんがストレスに感じることもあるでしょう。

しかし、授乳間隔が不規則でも、赤ちゃんが眠っている時にお母さんも一緒に休むことで、眠れないストレスを軽減させることが可能ですよ。

デメリット2:母乳は産後すぐに出るわけではない

母乳は赤ちゃんが生まれると、すぐに出るわけではありません。

赤ちゃんが生まれると母乳の分泌を促すホルモンの働きが大きくなり、さらに赤ちゃんが乳頭を吸うことで母乳は出るようになるのでタイムラグがあるのです。

産後2日目までは母乳の分泌は少しずつ、産後3日目頃から分泌量が増えてきます。

母乳が出るようになるまでの生理的な変化ですので、心配はいりませんし、母乳が出るようになるまでミルクで足りない分を補うこともできます。

デメリット3:お母さんの状態によっては母乳を飲ませられないこともある

母乳育児のデメリットとして、お母さんの健康状態によっては母乳を飲ませられないことがあります。

理由は母乳が血液からつくられているからです。

もし、お母さんが病気の治療などで薬を服用している場合、薬の成分は母乳に移行しますので、薬を飲んでいる期間は赤ちゃんに母乳を飲ませられない場合があります。

また、母乳を介して感染する感染症もあり、お母さんがその感染症にかかっている場合は、赤ちゃんに母乳を飲ませることができません。

お母さんの健康状態で母乳を飲ませることができない場合は、ミルクを赤ちゃんに飲ませることになります。

デメリット4:外出先での授乳場所が必要

外出した時の授乳をする時は、授乳ができる場所が必要ですよね。

外出先で授乳をしたい時に、すぐに授乳できないこともあるかもしれません。

授乳室が設置されている外出先を選んだり、授乳ケープを活用したりすることで外出先での授乳はしやすくなりますよ。

デメリット5:ビタミンKが不足する

母乳にはビタミンKが少ないというデメリットがあります。

ビタミンKが不足すると、赤ちゃんの身体は出血を止める力が弱くなってしまいます。

赤ちゃんの身体でビタミンKが不足しないように、産院では生後1日目と4日目、1か月健診の時にビタミンKを補う薬を赤ちゃんに飲ませますので、安心してくださいね。

母乳育児をスムーズに進めるためにできる妊娠中の乳房ケア

ここでは、産後の母乳育児をスムーズに進めるために無理なくできる、妊娠中の乳房ケアについてご紹介します。

その1:乳頭を清潔にする

乳頭を清潔にすることは、妊娠中に誰でも簡単にできるケアです。

妊娠週数が進むと、自然と少し母乳が分泌されるようになるのですが、乳頭に垢のように汚れがたまることがあります。

入浴やシャワー浴の時を活用して、乳垢(乳かす)を取り除きましょう。

乳垢が取りにくい時は、ベビーオイルやオリーブオイルを塗って柔らかくしてから洗うと、取りやすくなります。

その2:乳管開通法

乳管開通法は、母乳の通り道である乳管を母乳が通りやすくするマッサージです。

乳頭への刺激になってお腹が張りやすくなることがあるので、妊娠37週を過ぎてから実施してください。

親指と人差し指で乳頭を挟むイメージで指をおきます。

人差し指を乳頭と乳輪の境目におき、親指で乳輪から乳頭に向かって、やさしくなでるようにマッサージをします。

痛くならないようにマッサージすることがポイントです。

1回3分を目安にやってみてくださいね。

その3:乳頭マッサージ(縦・横マッサージ)

縦・横マッサージは乳頭を柔らかくするための方法です。

親指、人差し指、中指で乳頭をつまむようにして、乳頭の先端方向へずらしながらマッサージしていきます。

縦方向と横方向、それぞれを実施しましょう。

乳管開通法と同様に、1回3分を目安とし、妊娠37週を過ぎてから実施してください。

母乳育児には様々なメリットがあり!楽しみながら続けましょう

母乳育児には、赤ちゃんにとってもお母さんにとっても様々なメリットがありますので、ぜひチャレンジしてもらいたいです。

母乳育児がお母さんのストレスとならないように、楽しんでできることがいちばんです。

妊娠中にできるケアを実施しながら、産後の母乳育児に向けて準備を進めていきましょう。

この記事が母乳育児のメリットを知りたい方の参考になれば幸いです。

参照元
日本生活習慣病予防協会 母乳で育てた乳児でビフィズス菌が優勢な腸内フローラが形成
http://www.seikatsusyukanbyo.com/calendar/2017/009343.php

厚生労働省 乳幼児突然死症候群(SIDS)について
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/sids.html

母乳育児支援講座 南山堂 第1版第1刷 P.45〜55

【執筆者紹介】

助産師、保健師、看護師
菊地 綾香

総合病院、産科クリニックに勤務。看護大学教員として看護学生や助産師学生の教育にも携わる。約8年の助産師経験から得た妊娠、出産、育児に関する確かな知識と情報を届けるための活動も行なっている。

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